2015-04-08(Wed)

京大 入学式 式辞

私は参加できませんでしたが、「学生の本分は学問であり、学生運動、その結集軸である学生自治会を認めない」というステレオタイプが話された入学式だったようです。以下京大ホームページから引用した山極総長の式辞です。

平成27年度学部入学式 式辞 (2015年4月7日)
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第26代総長 山極 壽一



 本日、京都大学に入学された3,002名の皆さん、入学誠におめでとうございます。ご列席の理事、副学長、学部長、部局長、および教職員とともに、皆さんの入学を心よりお祝い申し上げます。同時に、これまでの皆さんのご努力に敬意を表しますとともに、皆さんを支えてこられましたご家族や関係者の皆さまにお祝い申し上げます。

 4月は桜の季節であるとともに、さまざまな木々が芽吹き、新緑が山々を彩る季節でもあります。豊かな水に恵まれた琵琶湖の近くに位置し、盆地に育つ湿気に富んだ森に囲まれた京都では、とりわけこの鮮やかな色彩が目に映り、心を躍らせます。教育の場だけでなく、多くの職場がこの季節に新しく参加する人々を迎えるのには、この自然の背景が大きな影響を与えているのだろうと思います。それまで冬の寒さに縮こまり、凍った心や身体を解き放ち、すべての生物がいっせいに活動を始める。その勢いに誰もが同調して、世の中が騒がしく、活気づくようになり、自らも思わず背筋を伸ばして歩を早める。それが勉学や仕事の開始に合っていると、多くの人々が考えているのだろうと思います。

 しかし、4月を別の感情でとらえた詩人がいます。英詩の最大の傑作といわれる「荒地」Waste landという詩の冒頭で、詩人トーマス・エリオットはこう歌い上げます。



April is the cruellest month, breeding
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.
Winter kept us warm, covering
Earth in forgetful snow, feeding
A little life with dried tubers.



 この詩は第1次世界大戦の後に書かれ、引用したのは西洋文明の病んだ姿と人間社会の荒廃をWaste landになぞらえて描写した冒頭の部分です。英国にも日本と同じような四季があります。多くの詩人は4月を生気に満ちた恵みの季節として歌いあげるのですが、エリオットは荒々しく無情で残酷な季節と詠んだのです。長い間、私はその情景がよくわかりませんでしたが、この1月末に英国を訪問し、その冬の有様を体験して、おぼろげながらこの詩の背景が見えたような気がしました。ロンドンから車でブリストルへ、ふたたびロンドンへ戻った後、ケンブリッジへと電車で向かったのですが、風景にほとんど緑がなかったのです。木々はすべて葉を落とし、牧場は枯れ草で茶色に染まり、冷たい雨が途中で雪に変わりました。しかも、私が驚いたのは一面に吹き渡る風の強さです。途中でストーン・ヘンジという奇妙な環状列石のある場所へ立ち寄りました。ここは紀元前8000年ほど前から人々が住み着き、自然の脅威を克服しながらその恵みを糧とし、さまざまな文化を発展させてきた場所です。私は、立っていられないほどの強風にあおられ、寒さで顔を硬直させながら、昔の人々はいったいどうやってこの寒風を凌いだのだろうと思いました。ミュージアムの脇に古い住居が復元されていましたが、それは頑丈な木を組み合わせ、強靭な土壁で強風を防いで火を焚き、中で冬芽のように人々が閉じこもる作りになっていました。英国の人々がやがて石造りの家を作るようになった気持ちがわかるような気がします。冬は石の壁で寒風を遮断し、暖炉の火に照らされながらさまざまな思いをつむぐ季節なのです。

 しかし、日本の冬は違います。日本列島は南北に長く、亜熱帯の植物が茂る沖縄から流氷に見舞われる北海道まで多様な気候のもとに人々は暮らしています。深い雪に閉ざされた地域では、冬は英国のように炉辺で人々が手仕事や話に興じる季節でもあります。しかし、まるで背骨のように続く山脈が列島の中央にそびえるために、強い風に見舞われることは少なく、暖流が洗う海岸部では常緑樹が発達していて冬にも葉を落としません。ナンテン、マンリョウなど冬に実をつける木々もあり、多くの鳥たちが舞い降ります。冬の只中に正月や節分の賑やかな行事があり、華やいだ気分を人々に運びます。そして、啓蟄を迎えて草花が顔を出し、虫たちが活動を始める3月という助走の時期をはさんで、桜が満開の4月を迎えるのです。こうした自然の織り成す季節の綾は、人々の心やその形である文化に大きな影響を与えてきました。それを、かつて京都大学で教鞭をとった哲学者和辻哲郎は風土という言葉で表現しました。日本の思想や文化は、この多様な気候を背景とし、穏やかで鮮やかな色が織り成す自然の下で育まれてきたのです。

 ただ、エリオットの言うように、4月は開こうとしている蕾によって、過去のさまざまな記憶に潜む可能性の喪失を意味する時期かもしれません。大学という学びの国に入るということは、皆さんが自分に合った道を選び、自分の能力をその道に沿って鍛えていくということに他ならないからです。大学は、これまで皆さんが経験してきたような、既存の知識を蓄積し、正しい答えを見つける時間を競う場所ではありません。世界はまだ答えのない課題、複数の答えがある課題に満ちています。しかも、めまぐるしく動きを変える現代の社会では、過去に出された解決策が通用しなくなり、それを現代の条件や要請に合わせて再検討して、新しい答えを出さねばならないことも多くなっています。皆さんがこれから歩む道は、過去に人々が歩んできた道とは異なっているかもしれません。しかし、新しい道を切り開くためには、先人たちの歩みをたどり、それを教訓として現在の課題を克服する創造力が必要です。

 京都大学は1897年の創立以来、その学びの場を提供してきました。対話を根幹とした自由の学風のもと自主独立と創造の精神を涵養し、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献すべく、質の高い高等教育と先端的学術研究を推進してきました。これまでに9人のノーベル賞と2人のフィールズ賞をはじめとする数多くの国際賞の受賞者を輩出し、昨年も赤﨑勇 先生のノーベル物理学賞、森和俊 先生のラスカー賞、稲葉カヨ 先生のロレアル-ユネスコ女性科学賞などの受賞が相次ぎました。これは、京都大学が世界をリードする研究を実施してきた証です。これからも学問を志す人々を広く国内外から受け入れ、国際社会で活躍できる能力を養うとともに、多様な研究の発展と、その成果を世界共通の資産として社会に還元する責務を果たしていこうと思います。

 現代は国際化の時代といわれます。多くの国々から大量の物資や人々が流入し、日本からも頻繁に出て行きます。自然資源に乏しいわが国は先端的な科学技術で人々の暮らしを豊かにする機器を開発し、次々にそれを世界へと送り出してきました。海外へと進出する日本の企業や、海外で働く日本人は近年急激に増加し、日本の企業や日本で働く外国人の数もうなぎのぼりに増加しています。そうした中、大学ではグローバル化した社会の動きに対応できる能力や国際的に活躍できる人材を育ててほしい、という要請が強まっています。昨年、ある企業が企業の人事担当を対象に行った新卒社員の出身大学のイメージ調査では、京都大学が総合評価で1位となりました。とくに、知力・学力、そして独創性では高い得点を取りました。しかし、対人力では低く、人間関係を作る上で能力が伸びないことが指摘されています。たしかに、私の目から見ても昨今の学生は自己を提示して、相手に理解できるように話題を展開し、目的に沿って交渉をまとめる力が弱いように感じられます。これから国際的な交渉の場で力を発揮するには、日本はもちろんのこと、諸外国の自然や文化、歴史に通じ、相手に応じて自在に話題を展開できる広い教養を身につけておかねばなりません。理系の学問を修めて技術畑に就職しても、国際的な交渉のなかで多様な文系の知識が必要になるし、文系の職に理系の知識が必要な場合も多々あります。世界や日本の歴史にも通じ、有識者たりうる質の高い知識を持っていなければ、国際的な舞台でリーダーシップを発揮できません。そのために、今、大学は外国語の能力(読・書・聞・話)の向上を図り、質の高い基礎・教養教育を徹底する必要があります。京都大学は、2013年度に全学共通教育を一元的に所掌する国際高等教育院を立ち上げ、全学の教員の協力のもと質の高い基礎・教養教育の実践システムを組み上げてきました。学問の多様性や階層性に配慮し、クラス配当科目やコース・ツリー(専門科目へつなぐ基礎・教養科目の組み合わせ)などを考案し、教員との対話や実践を重視したセミナーやポケットゼミを配置しています。外国人教員の数も大幅に増やし、学部の講義や実習も英語で実施する科目を配置しました。すでに大学院の授業やゼミは英語や他の外国語で行うことが多くなっているので、今後は基礎教育、専門教育、大学院教育を緩やかにつなぎ、国際化に対応した教育をシームレスに実施する工夫を行っていこうと考えています。



 昨年の10月に総長に就任して以来、私は京都大学が歩む指針としてWINDOW構想を立ち上げました。大学を社会や世界に通じる窓として位置づけ、有能な学生や若い研究者の能力を高め、それぞれの活躍の場へと送り出す役割を大学全体の共通なミッションとして位置付けたいと思ったからです。大学の教育とは知識の蓄積と理解度だけを向上させるものではなく、既存の知識や技術を用いていかに新しい発想や発見が生み出されるかを問うものです。その創造の精神を教職員と学生が一体となって高めるところにこそ、イノベーションが生まれるのです。すべての学生が同じ目標に向かって能力を高めてもイノベーションには結び付きません。違う能力が出会い、そこで切磋琢磨する場所が与えられることによって、新しい考えが生み出されていくのです。京都大学は単に競争的な環境を作るのではなく、分野を超えて異なる能力や発想に出会い、対話を楽しみ協力関係を形作る場を提供していきたいと考えています。そういった出会いや話し合いの場を通じてタフで賢い学生を育て、彼らが活躍できる世界へ通じる窓を開け、学生たちの背中をそっと押して送り出すことが、私たち京都大学の教職員の共通の夢であり目標なのです。

 その窓にちなんで、WINDOWという標語を作りました。WはWild and Wiseです。すなわち野生的で賢い学生を育てようという目標です。現代の学生は内にこもりがちで、IT機器を常時持ち歩き、狭い範囲の仲間と常につながりあう傾向にあると言われています。そのため、自己決定ができない、ひとりよがりの判断でよしとする風潮が広がりつつあります。正しく、賢い選択をするためには、情報を正しく読み、自分ばかりでなく他者の知識や経験を総動員して自己決定する意思を強く持つことが必要です。大学キャンパス以外にもこうした対話と実践の場を多く設け、タフで賢い学生を育てようと考えています。

 IはInternational and Innovativeです。国際性豊かな環境の中で、常に世界の動きに目を配り、世界の人々と自由に会話をしながら、時代を画するイノベーションを生み出そうとする試みです。海外の大学や研究機関、産学官民を通じた多様な交流を通じて、この動きを作り出そうと考えています。

 NはNatural and Nobleです。京都大学は、三方を山に囲まれた千年の都に位置し、自然や歴史の景観に優れた環境にあります。昔から京都大学の研究者は、これらの豊かな環境から多くの新しい発想を育んできました。哲学の道を散策しながら練り上げられた西田哲学、北山登山から生まれた霊長類学など、世界に類のない新しい発想や学問を生み出してきたのも京都のこうした環境によるところが大きいと言えましょう。また、京都の市民も京都大学の学生に古くから親しみ、ときには教育的な配慮をもって接してきました。京都大学の学生の高い品格や倫理観は京都の自然と社会的環境によって醸成されてきたと思います。今後もこの伝統を受け継ぎながら、新しい時代に適合しつつそれを先導するような精神を培っていきたいと考えています。

 DはDiverse and Dynamicです。グローバル時代の到来で、現代は多様な文化が入り混じって共存することが必要になりました。これまで強みを発揮してきた日本の均質性は、国際競争が激化する現代ではときとして創造力を弱め、イノベーションの育成を阻んでいると言われます。京都大学は多様な文化や考え方に対して常にオープンで、自由に学べる場所でなければならないと思います。一方、急速な時代の流れに左右されることなく、自分の存在をきちんと見つめ直し、悠久の歴史の中に自分を正しく位置づけることも重要です。京都大学はそれを保証する静謐な学問の場を提供したいと思っています。

 OはOriginal and Optimisticです。これまでの常識を塗り替えるような発想は、実は多くの人の考えや体験を吸収した上に生まれます。そのためにはまず、素晴らしいと感動した人の行為や言葉をよく理解し、仲間とそれを共有し話し合いながら、思考を深めていく過程が必要です。自分の考えに行き詰まったり、仲間から批判されて悲観しそうになったりしたとき、それを明るく乗り越えられるような精神力が必要です。失敗や批判に対してもっと楽観的になり、それを糧にして異色な考えを取り入れて成功に導くような能力を涵養しなければなりません。京都大学にその機会をなるべくたくさん作るように環境を整えようと思っています。

 最後のWはWomen and Wishです。これからは女性が輝き、活躍する時代です。今日入学した皆さんの703名が女性であり、これは全入学生の23.4%にあたります。女性が増え、女性からの発想や観点によって新しい研究が始まれば、世界は変わります。私が行ってきた霊長類学でも、50年前はオスの優劣順位や敵対行動、社会構造がテーマとされていましたが、近年女性研究者の割合が増え、繁殖戦略やパートナーの選択、他者をいたわる行動が人気のあるテーマになっています。京都大学はこれから、勉学に打ち込める環境作り、女性に優しい施設づくりを実施していきます。

 このように、京都大学は教育・研究活動をより充実させ、学生の皆さんが安心して充実した生活を送ることができるよう努めてまいりますが、そのための支援策として京都大学基金を設立しています。本日も、ご家族の皆さまのお手元には、この基金のご案内を配布させていただいていますが、ご入学を記念して特別な企画も行っています。ぜひ、お手元の資料をご覧いただき、ご協力をいただければ幸いです。

 最後に、私の大好きな谷川俊太郎の詩を贈ります。私が学生時代に出会った詩で「朝」と題するものです。



また朝が来て僕は生きていた
夜の間の夢をすっかり忘れてぼくは見た
柿の木の裸の枝が風にゆれ
首輪のない犬が陽だまりに寝そべってるのを

百年前ぼくはここにいなかった
百年後ぼくはここにいないだろう
あたり前の所のようでいて
地上はきっと思いがけない場所なんだ

いつだったか子宮の中で
ぼくは小さな小さな卵だった
それから小さな小さな魚になって
それから小さな小さな鳥になって

それからやっとぼくは人間になった
十ヶ月を何千億年もかかって生きて
そんなこともぼくら復習しなきゃ
今まで予習ばっかりしすぎたから

今朝一滴の水のすきとおった冷たさが
ぼくに人間とは何かを教える
魚たちと鳥たちとそして
僕を殺すかもしれないけものとすら
その水をわかちあいたい



 私はこの詩に、悠久の宇宙と、生物の世界と、そして人間の歴史を感じます。それは大いなる不思議に満ちています。皆さんが京都大学でその世界に遊び、楽しまれることを願ってやみません。

 ご入学、誠におめでとうございます。



平成27年度大学院入学式 式辞 (2015年4月7日)
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第26代総長 山極 壽一



 本日、京都大学大学院に入学した修士課程2,253名、専門職学位課程320名、博士(後期)課程943名の皆さん、入学おめでとうございます。ご列席の理事、副学長、研究科長、学館長、学舎長、教育部長、研究所長および教職員とともに、皆さんの入学を心からお祝い申し上げます。また、これまで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまに心よりお祝い申し上げます。

 さて、今日皆さんはさらに学問を究めるために、それぞれの学問分野へ新しい一歩を踏み出しました。京都大学には多様な学問分野の大学院が設置されており、合計23種類の学位が授与されます。18の研究科、14の附置研究所、17の教育研究施設が皆さんの学びを支えます。修士課程では講義を受け、実習やフィールドワークを通じて学部で培った基礎知識・専門知識の上にさらに高度な知識や技術を習得し、研究者としての能力を磨くことが求められます。専門職学位課程では、講義のほかに実務の実習、事例研究、現地調査などを含め、それぞれの分野で実務経験のある専門家から学ぶ機会が多くなります。博士後期課程では論文を書くことが中心となり、そのためのデータの収集や分析、先行研究との比較検討が不可欠となります。ここで重要なことは、(1)研究テーマを考案し、(2)そのための方法論を確立し、(3)データを収集し、(4)それを分析して結果を出し、(5)その結果を先行研究と照らし合わせて意義を示し、学界の中でのその発見や考え方の価値を位置づける。それは長く苦しい道のりです。でも、決して孤独になる必要はありません。新しい発見や考え方を見出したとき、それを周囲で聞いてくれる教員や研究仲間がいるはずです。独創的な研究をみんなで話し合いながら形にしていくことこそ、京都大学が誇る創造性や先端性の源です。論文を作成するためのこの五つのプロセスはどれも重要なのですが、おそらく最も難しいのがデータの収集です。文献研究であっても、事例研究であっても、フィールドワークや実験であっても、どのように信頼性の高いデータを取るかに、みな四苦八苦します。長年フィールドワークを実施してきた私のモットーは、「データに語らせる」ことです。相手がサルでもゴリラでも、鳥でも昆虫でも、はては植物や無機物の岩石であっても、研究対象が語りかけてくれなければいいデータは取れません。それは、決して独りよがりの仮定を立てて、思い通りの結果だけを予測しないことなのです。たとえば、自然環境でのサルの生態を観察して記録をとろうと思ったら、サルをよく見ようとして餌をやったり、追いかけまわしてはいけません。人間の影響の下に作り出された行動ではなく、自然の影響の下でサルたち自身の判断による行動を観察することが不可欠になります。研究対象をよく見定めて、ときにはその対象の立場に立って、信頼性の高いデータを得ることに心がけてください。昨今は、データの改ざんや剽窃など、論文制作に関わる不正行為が数多く指摘され、世間の厳しい目が研究者に注がれています。ぜひ、研究倫理を守り、独創性の高い研究を実施して、大きな成果を挙げていただきたいと思っています。

 また、皆さんはこれから専門性の高い研究の道へ入られるわけですが、それは狭き道をまっしぐらに進むことを意味するわけではありません。京都大学には34のユニットがあり、学際的にさまざまな教育・研究活動を行っています。複数の研究科、研究所、研究センターからなる教育プログラムや研究プロジェクトが走っていますので、ぜひ参加をして多様な学問分野に目を開き、創造性を高めてください。さらに、博士の学位を得て実践的な舞台でリーダーシップを発揮するリーディング大学院プログラムが五つの分野で実施されています。京都大学大学院思修館、グローバル生存学大学院連携プログラム、充実した健康長寿社会を築く総合医療開発リーダー育成プログラム、デザイン学大学院連携プログラム、霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院があり、それぞれ連携する大学院が指定されていますので、ぜひ関心を持っていただきたいと思います。

 日本は、博士の学位を取得した学生が産業界に就職しにくいと言われてきましたが、最近政府も企業に対して注意を促し、博士の学位をもつ人材を採用する企業が増えてきました。こうした動きを受け、京都大学は今年、国際科学イノベーション棟を新築しました。これは約40社の企業が参加して、産官学がアンダーワンルーフの下で事業化を目指す研究開発を推進する拠点です。ここで、大学、産業、国、地域を越えた産官学の連携活動を推進し、新たなイノベーションを創造・発信しようというわけです。すでに、安寧でレジリエントなチャレンジ社会の実現を目指し、(1)コードレス・省エネ電力伝送・エコシステム、(2)安心生活センサーネットワーク、(3)予防・先制医療、(4)先端医療という四つの目標を掲げて共同研究を開始しています。また、産学協働イノベーション人材育成コンソーシアム事業として、多くの企業に参加してもらい、中長期のインターンシップやマッチングを実施しています。社会に出る前に産業界の現場を経験し、自分の能力や研究内容に合った世界を知る機会を増やそうと考えています。

 さらに、日本企業の海外進出が増える中、国際的な舞台で活躍できる人材を育成してほしいという声が高まってきています。京都大学もスーパーグローバル大学創成支援事業においてジャパン・ゲートウェイ構想を立ち上げ、海外のトップ大学とダブル・ディグリーやジョイント・ディグリーを結ぶための準備に入っています。現在、京都大学はロンドン、ハイデルベルク、バンコクに海外拠点をもち、ヨーロッパやアジアの大学との連携を強めていますが、北米やアフリカにも拠点を設け、大学間交流の場を増やしていこうと考えています。また、すでに京都大学の多くの部局は世界中に研究者交流のネットワークや拠点をもっており、これらの拠点を活用しながら、共同研究や学生交流を高め、国際的に活躍できる機会と能力を伸ばしていく所存です。

 このように、京都大学は教育・研究活動をより充実させ、学生の皆さんが安心して充実した生活を送ることができるよう努めてまいりますが、そのための支援策として京都大学基金を設立しています。本日も、ご家族の皆さまのお手元には、この基金のご案内を配布させていただいていますが、ご入学を記念して特別な企画も行っています。ぜひ、お手元の資料をご覧いただき、ご協力をいただければ幸いです。



 現在、大学の研究は産業界の発展に結びつくことが期待されていますが、京都大学は社会にすぐ役立つ研究だけを奨励しているわけではありません。多様な学びと新しい発想による研究の創出を尊ぶ伝統も持っています。国立民族学博物館の初代館長をされ、民族学・文化人類学の分野で著名な業績を残した梅棹忠夫先生は、京都大学理学部・理学研究科の出身です。大学院に在籍しているときに第二次世界大戦に出兵し、その後41歳のときに理学博士の称号を取得しました。学位論文は動物の社会を数学的に表現するという試みでした。理学部の附属植物園の池からオタマジャクシをとってきて水槽に入れ、その上に櫓を組み立てて16ミリの撮影機で一コマ撮りをしたのです。そのフィルムを双眼顕微鏡で見て、オタマジャクシ同士の相互関係を分析しました。もし、オタマジャクシが勝手気ままに動いているなら、その分布は二項定理に従うはずであるという仮定を立て、もしそこにずれがあれば、そのずれが彼らの社会性を表していると考えたのです。そして、実際に観察されたずれを数式に当てはめ、ポリア・エッゲンベルガーの式に含まれているパラメータを用いて指標を作成しました。いわば、動物数理社会学を誕生させて学位を取得したのです。同じ頃、梅棹先生は「文明の生態史観」という構想を練っていました。これは、アフガニスタンとインドの横断旅行を経て、イスラム文明とヒンドゥー文明に接し、アジアと西洋にはさまれた「中洋」と呼ぶべき巨大文明世界を発見したことが下敷きになっています。日本文明はそれらの中洋の文明とはあまりにも異質であり、むしろユーラシア大陸の反対の極に位置するヨーロッパ文明と同質な特徴を多く持っているというのです。これらの文明は軍事封建制を経験し、革命を経て近代社会となり、ブルジョアジーの台頭という段階を経ているという点で共通しており、それはユーラシア大陸全体の生態学的構造に由来すると考えたのです。この稀有で壮大な理論は、梅棹先生の理学的思考、とりわけ生態学と数学の思考がフィールドワークの中で絶妙に融合されたことによって生まれたといってよいでしょう。

 同じような異分野の思考の融合はアメリカにも見られます。梅棹先生の「文明の生態史観」から30年経って、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のジャレド・ダイアモンド教授は、「銃・病原菌・鉄」という本を出し、これは世界の大ベストセラーとなりました。驚いたことに、ここに書かれている内容は梅棹先生の本とよく似ているのです。ジャレド・ダイアモンドも文明には発展段階があると考え、ユーラシア大陸のように東西に長い大陸と、アフリカや北米、南米大陸のように赤道をはさんで南北に長い大陸とでは、文明の発展や伝播の仕組みが異なっていると主張しました。ユーラシア大陸は気候の似た地域を通って文明や技術が東西に速い速度で伝えられました。さらに、家畜化できる中大型哺乳動物がほとんどユーラシア大陸にいたために、農業技術を早く発展させることができ、家畜がもたらす伝染病に対する抵抗性をもち、それが他の大陸へ進出した際に大きな武器となったというのです。実は、ジャレド・ダイアモンドも生理学で博士号を得た後、分子生物学、進化生物学、遺伝子学、生物地理学、考古学、人類学、言語学といった理系と文系の学問を学び、地理学の教授となりました。梅棹先生と同じように、理系の思考を用いて文系の課題に取り組んで大きな成功を収めた研究者です。

 今日、京都大学の大学院に入学した皆さんも、いつかは自分の専門を離れて別の学問領域に目を向ける日が来るかもしれません。それも自分の学問分野で成功するのに匹敵する輝かしい飛躍であり、新たな可能性を生み出す契機となると私は考えています。どうか失敗を恐れず、自分の興味の赴くままに、研究生活に没頭してください。京都大学はそれにふさわしい環境を提供できると思います。

 本日は、誠におめでとうございます。

中執 大森
2015-02-03(Tue)

2014年総まとめ写真集⑤  熊野寮際

写真 3 (27)
時計台前立て看板
写真 3 (20)
前哨戦として、11月祭ではKMN48(熊野寮のアイドルグループ)がダンスを披露しました。
写真 2 (28)
とても盛り上がり、昨年12月7日に無事貫徹されました。

中執 大森
2015-02-03(Tue)

2014年総まとめ写真集②

写真 5 (6)
昨年11月1日、ホームカミングデイと共に開催された中央キャンパス祭り
私が行った時にはすでにステージは終了していました。
写真 1 (8)
しかし時計台前がこんなににぎやかになるのは、すばらしいですね。
写z真 (4)
ステージではHIグランプリというのがやられていたそうです。留学生が優勝したのこと。
来年度はもう少し最初の方から参加してみようと思います。
2015-02-03(Tue)

2014年総まとめ写真集①

京都大学11月祭

写真 4 (26)
京大に元自衛官が来るということで、少し問題になりました。軍事関係者が大学の中で講演するということは、60年代、70年代に阻止運動が盛り上がりました。大学の戦争協力拒否の観点から、自衛官の大学入学には、絶対反対する運動がありました。

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2014-12-07(Sun)

衆院選挙 

12月6日 毎日新聞朝刊
写真 1 (2)
自公、民維の「政策論無き共闘」がテーマになっています。
テーマに冠するとおり、憲法九条、消費税増税、集団的自衛権に関する立場が双方で全く違うのです。
写真 3 (1)
一方維新は自民党の3本目の矢、成長戦略、行政改革を肩代わりするといっているだけで、自民党と主張はほぼ同じです。
写真 2 (2)
民主党と維新、その裏で自民党と平和の党たる公明党が共闘している、平和共存しているこの事態こそ、自民党の戦争政治を生き延びさせている唯一の構造形態です。まさに戦時の国家危機を覆い隠す総翼賛体制に相違ありません。
鈴木たつおの真っ直ぐな主張こそ唯一の選択肢です。中執は鈴木氏を応援します。

中執
プロフィール

京都大学同学会中執

Author:京都大学同学会中執
京都大学全学自治会同学会の中央執行委員会で運営する、オフィシャル中執blogです。
激動の大学情勢に喰らい付くぜ!

告示第五号、第四号について
2012年~再建過程について
→リンクから見れます。

運動へのカンパ求む!

ゆうちょ銀行からの振り込みの場合
【記号】14430
【番号】41856491
【名義】キョウトダイガクドウガクカイ

他銀行からの振り込みの場合
【店名】四四八(読み ヨンヨンハチ)
【店番】448
【預金種目】普通預金
【口座番号】4185649
【口座名義】キョウトダイガクドウガクカイ

集まった資金は学生自治会の発展に向けて、大切に使わせてもらいます。

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